大勢のうちの誰かではなく、個人を見出すことーアーレント『人間の条件』とドラマ『銀河の一票』

銀河 ブログ

2026年のドラマで私が非常に感動したのは『銀河の一票』でした。

皆さんはみていましたか?このドラマ、見るたびに私の琴線に触れ、

いつも感動の涙が出てきました。

そして、最近読んだのが「すごい古典入門アーレント『人間の条件』」でした。

この本を読むきっかけは、いろんな本を読んでる中で時々出てくるのが「アーレント」でした。

一体どんな人なんだろう気になっていたところ、

入門という形で読める本を見つけたので読んでいました。

そうすると、まさかまさか、この二つが私の中で繋がる部分があったのです。

今回は、そのつながった部分を書いてみようと思います。

アーレント『人間の条件』

私がこの本を読んでいて、気になった言葉がありました。

それは

複数性

活動と連帯

です。

これらの言葉から感じられたのは、

同じ人間でありながら、それぞれが個性を持っているそうした中で、

その他の人と広がりを持ちことを成していく重要性

というものです。

複数性とは

アーレントは全体主義を否定しています。

その理由として、「イデオロギーは人間を画一化する」だからです。

人間を画一化するとは、個性を否定し、失わせる、というではないかと思います。

この対義語として、複数性があります。

複数性とは、同じ人間でありながら、一人一人が個性を持っている、ということです。

活動と連帯

活動とは、人間自らの個性を発揮し、他者に対して働きかける営為で、

アーレントがイメージしていたのは政治的な活動です。

例えば、デモを起こす、職場で問題がある場合それを指摘する、ボイコットする、などです。

ここで私自身の考えですが、

そうした政治のような大きなものだけではなく、

自分たちの生活身近な部分で違和感を感じ、それに対して何か行動を起こすこと

もそこに含まれるのではないのかと思っています。

なぜなら「パーソナル イズ ポリティカル」という言葉にあるように、

個人のことは社会のことという言葉を思い出したからです。

連帯は、そうした「私」と「他者」の違った個性を受け入れながら、

それでも共に活動することです。

そして、「私」は他者の行う活動に触発され、自分自身も活動を始める

そうやってどんどん活動は拡大していくことです。

では、ドラマでリンクしているなと私が思った部分を書いてみようと思います。

私が思う『人間の条件』とリンクするドラマ『銀河の一票』のシーン

月岡あかりに都知事になって欲しいという星野茉莉

ドラマのシーン

星野茉莉は、あることからスナックとし子のママであった月岡あかりに出会う。

その時の彼女の人柄に惹かれ、「都知事になって欲しい」と月岡あかりに懇願する。

星野茉莉は、月岡あかりの人間性に惹かれ、彼女に都知事になって欲しいとお願いする。

「誰でもいいわけではない」「月岡あかりだからお願いした」

これは、星野茉莉が、月岡あかり人自身を見つめているということだと思います。

この部分に、私は「誰でもいい」ではなく、「この人だから」という、複数性を感じました。

選挙を助けるスタッフとボランティアの人々

ドラマのシーン

月岡あかりがいよいよ都知事選がはじまり、準備をする。

月岡あかりと星野茉莉は自分たちの陣営に優秀な人を入れるために奔走する。

その際に、以前政治に関わっており、星野茉莉の父によって、政界を去った二人、

雲井蛍、五十嵐隼人にアプローチする。その時に、二人ははじめは気乗りしないのだけれども、

月岡あかりの言動によって、心が動かされ、自分たちも良い社会になるようにと動き出すことに決める。

そして集まったスタッフ、もともとスナックとし子の常連は、それぞれの強みを活かし、

イキイキとしている。

ボランティアの人々も月岡あかりのあり方に共感し、

とし子さんの介護施設の職員のポスター貼りの件など、

チームあかりの一つ一つの行動によって、個人がまた行動に移すというような空間が

この選挙事務所に溢れている。

強みを活かしてそれぞれが行動できるというのは当たり前のことじゃないか

と思われるかもしれません。しかしこれらのことがどれだけ実社会でできているでしょうか?

多くの職場では、一定の役割、効率、ある程度できることが求められます。

その結果、一人一人の個性を見てもらえるというよりは、

「誰でも同じようにできること」が重視されることも少なくありません。

それはアーレントが警鐘を鳴らした「人間の画一化」を思い起こさせました。

それとはことなる複数性がドラマで描かれていると思います、

また、一人一人の行動が連帯して、広がりを見せている、これはアーレントの「行動と連帯」

そのものであると思いました。

星野茉莉、月岡あかりの「声を聞かせて」

ドラマのシーン

星野茉莉ははじめスナックとし子のところに来た時、「困りごとはないですか」

と涙を流してみんなに問いかける。

月岡あかりはいろんな現場に行って、「皆さんの声を聞かせてください」と訴える。

これは、

みんなにはそれぞれの思い、困りごと、悩みそうしたことがあるよね、

つまりみんな違っている、ということ、複数性を認めている言葉だと思います。

画一化されている場所、つまり皆が同じものであるという考えのもとでは、

そうした一人一人の声を拾おうとはしないのではないかと思います。

そして、そもそも月岡あかりの「困りごとを聞かせて」は、

星野茉莉が一番初めにスナックとし子で言った言葉でした。

星野茉莉のこの言葉が月岡あかりの言葉につながっているようにかんじました。

その部分にも「行動と連帯」が現れていると思いました。

それと同時に、そうした声に真摯に向き合おうとしている姿勢と合わせて、

複数性を感じたシーンでした。

敵だったはずの日山流星を応援する月岡あかり陣営

ドラマのシーン

最終回、最終演説で流星は全てのことを告白する。

それは、民政党幹事長である鷹臣の秘密裏の約束、人質事件を利用した昇進、

また彼らがそれらをしてでも守りたかった解釈憲法の停止、

今までの上っ面だけの気持ちではなく、本当の思いを語る。

また、そうした想いに連帯して、月岡あかり陣営と業務委託をした流星の秘書藤堂昴。

そして最後にそこにいたみんなが、あかりを灯す。

これはみんなの気持ちが連帯していったということではないかと思うのです。

このあかりひとつ一つが、人間それぞれの個性であり、

まるで銀河のようにあたりが光る様子が、連帯の象徴だったのではないかと思います。

私が感動した理由

こうして、アーレント『人間の条件』とドラマ『銀河の一票』を照らし合わせて見ていて

気がついたことは、

私の心には

「大勢のうちの誰かではなく、個人を見出すこと、

そして、その個人の違いが生かされてそして全体につながっていくこと」

このことに非常に琴線が触れるのだということがわかりました。

そしてそのことが私の中で非常に重要な要素なんだと気がつきました。

最後に、月岡あかりを見つけ彼女と共に伴走している星野茉莉の存在、

二人の共鳴に感動したということを最後に触れておこうと思います。

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