学習の躓きを考えるー思考の仕方の仕組みについての誤解ー

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前回は『学力喪失 認知科学による回復への道筋  今井むつみ』という本から、

子供の躓きに関して、大人の誤解があり、それが原因で、子供の躓きを解決すること

が難しいということがありました。 https://you-try-blog.com/blog20241226/

そして今回は前回の続きで、大人が誤解していること

・思考の仕方の仕組みについて誤解していること

について書いてみようと思います。

どのように人は学習していくのか。

そもそも人はどのように学習していくのでしょうか?

その問いに、母語の習得の方法から書かれてありました。

母語の習得は、大人が丁寧にわかりやすく教えるのではありません。

以下引用

自分で母語の仕組みを発見し、単語の意味を自分で考え、

手探りで試行錯誤を繰り返しながら「母語のよい学び方」を身につけること

によって習得する。p51

とあります。

キーワードとして、「スキーマ」という言葉がありました。

「スキーマ」とは言語化できない「暗黙の知識」は経験から学習者が

無意識のうちに創り上げた「知識の塊」である。これを「スキーマ」という。

とあります。どういうことのなのか。

まず、暗黙の知識とは何か?

暗黙の知識=暗黙知とは哲学者のマイケル・ポランニーの名著「暗黙知の次元」の中で使われ、

その重要性を強調していた言葉だそうです。

暗黙知とは、「言語化できない生きた知識」のことです。

本書の例を書いてみると、日本語で「もさもさ」と言う言葉があります。

「もさもさの犬」と「髭がもさもさになった」を声に出して読むと、日本語母語話者であれば、

自然とアクセントを変えて読んでいると思います。

ですが、そのアクセントの違いを説明せよと言われても、それをうまく言語化できる人は

日本語母語話者でも少ないのではないでしょうか?自然と身体で会得している知識、

言語化できないけれども、使用することが難なくできる、この状態が「暗黙知」と言うこと

になるのだと言います。

「てにをは」の助動詞を適切に使えることなども、日本語母語話者であれば、

体得しているのではないでしょうか?

たまたま、下の小学一年生の子供がちょうど「てにおは」の宿題プリントを持って帰っていました。

普段の話し言葉では、スムーズに話せていますが、いざ穴あきになっていると混乱しているところ

もありました。ですが、私が声に出して読んでみるて、答えがわかるとなんだそうだそうだと、

感覚的に掴んでいる感じがありました。どうしてここが「て」なのかという説明よりも、

音の並びのようなもので理解しているというか、無意識のうちに習得している感じでした。

このように、人は「スキーマ」を持っていることが必要で、尚且つそのスキーマをうまく想起

できなければ、正しい回答、もしくは、理解することができないのです。

上の子供の例も、典型的で、「てにをは」に関するスキーマを子供は会得しているけれども、

いざ、宿題のプリント(これはてにをはの部分が間違っていて正しく直しなさいと言う問題でしたが)

になると、うまくスキーマを想起できなくて、混乱してしまったと言うわけです。

ですが、私が読み上げることで、自分の中のスキーマと合致することができ、

理解できたのだと思います。

最初の問「どのように学習するのか」の答えとして、

自らの経験の中で、試行錯誤することで会得していくのです。

スキーマの罠

スキーマとは経験から学習者が無意識に創り上げているものです。

だからこそ、

すべてのスキーマが正しいわけではない

ということがあります。

「スキーマ」を使って私たちは、自分の中に取り込む情報を取捨選択し、情報を解釈し、

行間を埋めていくという作業を行っているのだと言います。

先ほどの子供の宿題プリントの話がまさにそうです。

だとしたら、「スキーマ」が間違っていれば、雪だるま式に誤ったスキーマと繋がってしまうのだ

と言います。

そのようなことから、

認知科学では、

学習の躓きの最も大きな原因は、スキーマの誤りである、

と言うことになるのだと言います。

どのように学習していくか、それはスキーマを会得していくことでさる。、その中でそのスキーマ自体が間違っていることがある。このような思考の仕方を私は知りませんでした。だからこそ、誰かに丁寧に教えてもらえれば、理解できると思っていましたが、それが大きな誤解でした。

そして学習の躓きが、学習の過程での「スキーマの誤り」ということであり、その根本的な部分を訂正しなければ解決できないのだと初めて知りました。

私が、子供のが学習で躓いたら、「なぜそれができないのか」ということばかりに

とらわれていたように思います。

できないということは、その知識がないからではないかと思ってばかりいたのだと思います。

だから、計算であれば、ドリルを何度も解けばそのうちわかるようになると思い込んでいた

のかもしれません。しかし、注目すべきは、どのような「スキーマ」で問題を解いているのか

を注意深く観察することだったのだと思います。そこから誤った「スキーマ」を正していく。

そのアプローチが欠けていたのだと理解しました。

今回はここまでにして、次回も思考の仕方の仕組みについて引き続きみていこうと思います。

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