昨年は戦後80年でした。去年、私は戦争に関する本を多く読んでいました。
そのようなわけで、「デモクラシー」という言葉にアンテナが立っていたので、
『デモクラシーのいろは 森絵都』を読むことにしました。
読み終えた今、
私の中で「デモクラシーとは何だったのか」という問いが、
かえって強く残りました。
『デモクラシーのいろは』の感想
読もうと思ったきっかけ
「デモクラシー」とはそもそも何か知っていますか?
直訳すると「民主主義」という意味で,
「国民が自分たちの意思を国の政治に反映させることができる」という考え方や政治の仕組み
を指します。
題名に「いろは」とありましたので、民主主義の手本に関する物語かな、
民主主義についても知れるかも、と思いこの本を手に取りました。
実際はそうではありませんでした。
戦後に何も知らないと思われている女性に、日系のアメリカ人によって、
「民主主義を教えよう」という取り組みの中で起こるあれこれが書かれていました。
本の内容を少しだけ書いてみると
ここに集められたのは女性4人で、
英語を学んでおり、ある程度の教養を持っている女性
夜の世界で働くしかなかった女性
など、バックボーンの異なる女性が4人集められ、
そこで日系のアメリカ人に民主主義のお勉強をさせられる。
そして、民主主義といたものに全く興味が持てないもの、それとは逆にすでに知っているもの
とがいて、足並みが揃わず授業になかなかならない。
教師である日系アメリカ人も迷いながらいろんな取り組みをする。
ですが、あれこれと物語があり、自分たちでいろいろなことを学び取り、
最終的には彼女らは前向きに進んでいく。というような話です。
私の感想1 彼女らの逞しさ
戦後であり、ものもない中、生きるか死ぬかというような日々、
そのような過酷な状況で、敵国であったアメリカから民主主義を教えてもらわなければならない。
そのようにせざる得ない状況だったのだと思います。
だとしても、彼女らは自分自身の意思を持ち、自分たちの考えを心に秘めながら生きてきた。
その時代背景から考えてもやはり私は、彼女らの逞しさのようなものを思わずには
いられませんでした。
私の感想2 デモクラシーは教わるもの?
そのような感想とは異なり、
「デモクラシーのいろは」とあるけれども、それは教えられるものだったのか
ということです。
彼女たちの日々を見ていると、もちろん民主主義の基本的な知識を教えてもらったのだと思います。
しかし私が思ったのは
民主主義とは、知識の習得ではなく、実践ではないのでしょうか?
その意味で言うと、彼女らはすでに民主主義を実践している人だったと思うのです。
なぜなら、自分たちで物事を考え、自分の意見を持ち、その中で自分の意思表明をしている。
それがこの本の重要な動きとなって現れています。
彼女らは教えてもらうだけにとどまっていたのではない。そのようにも思うのです。
助っ人AI(chatGPT)と話したこと
今回、さらに感想を深めるために、助っ人AIに
「この本について私が感じたこと以外で気になることなどはあるか」
を聞いてみました。
そうすると
「民主主義的主体として振る舞っているのに、なお「民主主義を学ぶ側」に置かれている。
ここに、戦後日本の民主化プロジェクトの矛盾が凝縮されているように思いました。
民主主義とは「制度」や「理念」ではなく、すでに生きられていたものだったのに、
それが「欠如しているもの」として語られてしまう。」
という答えが返ってきました。
この点はまさにそうだなと納得しました。
私がこれに気がつかなったのは、私自身が知らぬ間にこの構造の中に取り込まれているのだ
と思いました。だからなんの疑いもなくこの構造を見ていた。
しかしそのような視点で目を向けると、女性たちのプロジェクトがうまく成功したとしたら、
本当は彼女ら自身に民主主義の精神などはあったにもかかわらず、
他者からこの人は何もできない民主主義を知らない、能力がない、というレッテル貼りをされた上に、
だから民主主義を教えてあげた。そしてあなたたちは民主主義を知ることができたのだよ。
というふうにも見えてしまう。
これは「マンスプレイニング」とも言えると思います。
彼女らの行いを別の物語に変えてしまう。小さな声をかき消してしまう。そういう怖さを感じます。
私が考えたことー半径数メートルの民主主義
そうであるとしたら、私はどのようであるべきと考えるか?
それは「半径数メートルの民主主義を行う」ということなのかなと思いました。
具体的にはどう言うことか、
自分自身のできることを、自分自身で考え、自分のできる範囲で、コツコツと実践する。
そうした小さな営みを回し続けること、それによって変化を起こしていくことが
できるのではないかと思うのです。
構造的に埋め込まれてしまう民主主義ではなく、自分自身で作り上げる民主主義。
これは、この本の彼女らが実践していたことではないでしょうか?


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