イスラムと聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか?
本書のまえがきに、イスラムのイメージについて以下のようなことが書かれていました。
(以下本文を読んで私なりにまとめた文です)
「イスラム過激派によるテロが起こりました」というようなニュースを頻繁にみるようになり、
その影響で「イスラムは怖い」というような恐怖を持っている人もいるのではないか
というようなことが書かれてありました。
本書は2016年7月が初版となっていますが、その頃テレビで流れていたニュースは
確かにテロが起こり過激なニュースが多くあったと記憶しています。
というのも私は2015年第一子を出産し、生まれたばかりの子供を抱っこしている時に、
こんな激しい争いだらけの場所に命を生み落として良かったのだろうかと、
真剣に思い涙することもありました。
これは出産後のメンタルの安定ができていないということもあるのですが、
とにかく大きな衝撃と共に私はニュースを見た記憶があるからです。
そのため「イスラム」というと少し過激な宗教なのかなとか、
なんと無くのイメージを持っていました。
そこから約10年足らずが経過し、日々の激動の生活で考えていなかった「イスラム」という
世界観に再び興味と関心が湧きました。
その理由の一つとして、アルバイトしているところに「イスラム」の方がいたからです。
その方は決して私の勝手なイメージ「過激な」感じとは異なる温和な方々ばかりでしたし、
仕事に関しても、慣れない土地にも関わらずしっかりとこなされているように感じました。
そんなこともあり、自分の勝手なイメージを払拭するために、実際はどうなのかということで
本書を手に取りました。
本書を読んでみて、いくつかのことがわかりましたので、今回は何回かに分けてそのわかったことを
書いてみようと思います。
歴史、背景を知ることの重要性
はじめに本書を読んで強いメッセージとして感じたのは
「歴史、背景を知ることの重要性」
のようなことです。
多くの場合ニュースなどは現時点で起こったことを、過激な映像とともに流します。
それは、確かに過激で許されることではないことも多い、だからそのインパクトのある一面だけ
を見て多くはジャッジが下される。
でもその一つの事象が起こるまでに起こったことに目を向ける必要があるのではないか、
なぜそもそもそのようなことが起こるようになったのか背景を知る必要がある
ということが強く書かれているように思います。
このメッセージは、イスラムは何か怖いというような一つのイメージにとらわれず、
イスラムというものを知るのに必要な視点だと思います。
それと同時に、イスラムとは少し離れてしまいますが、日常の生活においても言えること
のように思います。
私たちは、何か一つの事柄を見て、その時のことをジャッジしてしまうことが多い。
それで物事が解決するのか、もしくよいい方向に変化するのかと言われれば疑問符が頭に出てきます。
日常にも必要なこと 〜一つの側面で決めつけない〜
私のよくあるあるの例で言えば、子供の喧嘩です。
子供が何か泣いている、叩いたところを見た、どちらかの子供が私に何かしらを訴えてきた、
となるとそれらのわかりやすいい、インパクトのある事象から、何かを判断して、
加害者となる子を「やめなさい」とか言いがちです。しかし、本来であればきちんと状況を互いに聞く
必要がある。でないと、一方的に叱られた方は、事情があるのにそれを伝えきれないまま、
しこりが残るかもしれない、ましては、その事象に関して、なんの解決にもなっていないのです。
このような日常のあれこれでさえもそうであれば、過激な映像などを見てしまったら、
その映像に自分が引っ張られ、判断を下してしまうこともあり得ると思います。
しかしその危険性についても書かれてあるように思います。
歴史に関して希薄なのかも?
別の観点で言うと、私自身の当事者意識というか、遠くの世界の話のような印象を
持っていたように思います。
私は日本人で、日本という島国、そしてある小さな地域のことしか、知らずに生きてきました。
つまり同質性の高い人々の中で生きてきました。宗教のことを深く考えるような事もなかったし、
ましては紛争やテロということは、ありがたいことに日本では起こっていません。
だからどこかで、遠い話、または歴史の教科書の中のお話のような
何か自分の世界とは異なることのように感じていました。そ
れはともすれば、一つのお話のように完結しているように思われる、
もしくは教科書の中だけのフィクションのように感じてしまう感じです。
でも実際はそうではないです。
歴史の教科書に書かれているようなことが実際に繰り広げられており、
その歴史は繋がっていて積み重なって現在進行形中です。
そしてそれらはただの事柄ではなく、直接的に人々の心理に影響し、
さらに、それらが日々の生活にも影響を及ぼしている。
自分自身の希薄さのようなものが、ある意味短絡的なジャッジを生む結果になるのかもしれません。
だとするなら、歴史に関して、その人々の背景に関して、理解していくことが、
イスラムを知ることの一つになるのだと感じました。
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