前回まで、ケアについて色々な登場人物を見ながら考えてみました。
今回は、「ルカ」という登場人物についてスポットライトを当ててみたいと思います。
この映画の中で、「ルカ」はどうしても「ケア利他」の関係を考える上で、
私の中で、どうしても「ケア利他」の枠におさまらない感じがしていました。
何かが異なる。この違和感はなんであるかを考えてみたいと思います。
「ルカ」はどんな子?
「ルカ」はどんな子なのか。「竜とそばかすの姫」のHPから参照すると
『吹奏楽部でアルトサックスを吹く、モデルのような容姿の女子。
学内のみんなから好かれる明るい太陽みたいな存在。』
と書かれていました。
確かにその通りなのですが、それだけではおさまらないものがあると感じました。
私が映画を見た際の、ルカの見え方を書いてみると、
人気者
みんなが羨むような容姿を持っている
吹奏楽でも目立っているような子
学校の中のヒエラルキーのトップありながら、目立たない鈴にも優しく声をかける
というような誰も羨むような存在である。
と同時に、
自分がそのような人気者であることを十分理解している
彼女の行動一つで、
色々な秩序がうまれそれを動かすことができることもしっかりと理解している
純粋に人気者というだけでない、客観的な視点を持っている
というような感じを受けました。
ここで比較対象として、女子から人気者「しのぶくん」を考えてみます。
彼は人気者であるけれども、だからと言って自分の立ち位置を考えたりはしない。
そのことを利用することもなく、自分の行動でどのような変化が起こるか
をあまりわかっていないのではないだろうかという印象を受けました。
このような対比からもわかるように、単純に人気者で、明るい太陽みたいな存在というだけではない、
と感じました。
ルカによる秩序の構成
先ほど、
ルカの行動一つで、色々な秩序がうまれそれを動かすことができる
と書きました。
これはどういうことかというと、彼女のように、みんなから人気者である人は、
今回あれば、学校の中で、彼女は「大きな物語の中心」として立ち現れることがあるのです。
そして、彼女の動きが、この世界の中の道徳になる、秩序になるのです。
決して彼女がそうしようと思っていなくても、周りが彼女を支持することで
勝手にそのようになってしまう。
具体的な映画のシーン
では、映画の中ではどのように描かれているかというと、
1、ルカが、クラスの中でも目立たない鈴に、「鈴ちゃんも写真に入ろう」とルカから声をかけられ、
写真の写ることになり、新たな動きが起こる。
2、学校内で人気者のしのぶくんが鈴に話しかけているシーンを目撃され、
周囲によって何か意味深な感じに解釈される
それがLINEのような連絡手段で噂になるシーンがある。
ここでルカのメッセージが入ることで、別の方向に話が揺らぎ始める。
映画を見ている最中、私の率直な感想として、
ルカの行動は、善意なのか、悪意なのか、わからないなと思いながら見ていました。
なんとなくいい人のような気もするけれども、、、、という違和感とモヤモヤ感
を感じながら見ていました。しかし結果的に彼女はケアをしていた人でした。
「ルカ」的なケア
ルカのケアとは、どういうものか。
ルカは、自分が秩序を構成する人であるということをなんとなく感じながら、
それをうまく使いながら、鈴にケアを行っていた。
大きなわかりやすいケアではないですが、
ルカの動きによって、鈴をルカの秩序の側に少しずつ寄せていっているような感じです。
例えば、先ほど挙げた1の「ルカが鈴を写真に招き入れたところ」は、
何気ない行動をとりながら、鈴をこちら側に招き入れている。
そうすることで他の人々友人も違和感なく写真を撮ったと思われます。
2の「しのぶくんと鈴の噂の件」も、ルカがメッセージーを入れたことで、
その話に別の話が入り込んできました。そこから、流れが変わったのです。
それは、秩序を構成するルカが行なったこうどうだからこそ効果をもたらしたわけです。
ルカ的なケアとは、
鈴自身に寄り添うとか、見守るとかそういう、今までのケアとは異なり、
自分のあり方を理解した上で、その力使って、場の秩序を変えることで、
鈴の場を変える、
それが今回は結果的にケアとなったのだと思います。
そして、
このケアのあり方は、誰もが行えるものではないと思われます。
つまり、秩序を構成できる特別な人であるから可能なものである。
またそれが、誰もできないものであるからこそ、違和感、ゆらぎとなって現れる。
そして「それがケアとなるのか、そうではないのか」、どちらにも転ぶ可能性があるのです
この「ルカ」的なケアは、非常にアンバランスなものであるので、
ケアと言えるのか、もしくはケアとなり得るのかは、ことの成り行き次第では
どちらにも転ぶ可能性があると言えると思います。
ルカの行動を見ていて、私がもしも鈴の立場ならどのように考えたかというと、
少し怖さを感じると思います。目立たない自分をどうして写真に誘ってくれるのだろうか?
とかあのルカのメッセージはどう意味なの?とその理由を考えてしまうのではないかと思います。
彼女の行動を良いものと捉えるには時間がかかる。
鈴自身も、ルカの言葉に喜んでいるというよりは、戸惑いのまま、
彼女の言われるがままになっているような状態に見えました。
このように、ルカの行動が絶対的なケアであるというよりは、
最終的に見て、それは鈴の場を変えたものとして、ケアになったのであり、
それまでは、よくわからない状態である。不安定なケアであると思います。
揺らぎによるケア
このように、
その場にとって特別な立場である人が行うような行為は、
それがその瞬間にケアであるかどうかは分からない、非常にアンバランスなもので、
わかりやすく「助ける」ケアというよりは、その立場の人間が少しだけ場の位置をずらす行為
である。
そして、その行為が行われた時には評価されず、それが最終的にケアになっているというような、
結果を見なければわからない状態、
このように、意味や価値が事後に立ち上るようなケア、
これが「揺らぎによるケア」を考えてみました。
ここから、「ルカ」のような「揺らぎによるケア」というのは、特別な立場にいる人が
なりうる可能性があると考えました。その中で、「ルカ」のようにクラスの中心にいる人ではない
人でもそのような立場になりうる人がいるのではないかと考えました。
そのことについて次回は書いてみようと思います。

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