『ぼくはウーバーで捻挫し、山で鹿と闘い、水俣で泣いた』斉藤幸平 を読んで考えたこと

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今回は『ぼくはウーバーで捻挫し、山で鹿と闘い、水俣で泣いた』斉藤幸平 を読みました。

題名を見て、一体どんなことが書かれてあるのだろうかと興味が湧いて読んでみた本です。

本書は大学の准教授である斎藤幸平さんが「学者は現場を知らない」という印象を打破するべく

実際に現場に訪れることで学んだことを記録して一冊の本にまとめられたものです。

題名にもあるように、実際にウーバーで働くということを行い、

ジビエ業の現場に行き実際に鹿を狩猟し、解体していく作業も行なっているし、

水俣を訪れ、現在もなお苦しんでいる方のお話などを聞いておられてます。

現場を訪れることでしか、見つけ出すことのない未来へ続く気づきや考えなどが書かれてあります。

著者の考えや視点を読むことで私自身も考えさせられる部分が多くありました。

ですが今回はその一つ一つに目を向けるのではなく、

最後に書かれていた「学び、変わる 未来のために」という部分に書かれてあったこと

について思ったことを書いてみようと思います。

「想像力欠乏症」~エンパシーとケアの精神の欠如~

日本は高度成長期を通り抜け、そこからバブルの崩壊、そして阪神淡路大震災という震災に見舞われま

した。そのような変化の中で、人間の「力強さ」や「傷つかない心」を当然としていた流れから、

「傷ついた人が心を癒すことのできる社会」にシフトできるのかということが、日本の分岐点だったと

言えるということが書かれてあります。ですが、実情として、心を癒すことのできる社会ではない方の

舵取りをしているのではないか。このままでは「傷ついた人を切り捨てる社会」になっていくだろうと

も書かれてあります。

「自己責任」という言葉を耳にすることもありますが、そのように、今さらに厳しい社会になっている

のかもしれません。

そのような厳しい社会ではなく、「傷ついた人が心を癒されるような社会」を作る。ですがその前に、

根本的な問題があるとも書かれてあります。その根本問題とは

今の競争社会で成功している、私自身を含めたマジョリティの特権集団には、

そのような他者を想像するエンパシーやケアの精神が根本的に欠如しているという事実だ。

『ぼくはウーバーで捻挫し、山で鹿と闘い、水俣で泣いた』斉藤幸平

とあります。

さらに本書は、佐藤千矢子の『オッサンの壁』という本の引用を続けています。

男性優位がデフォルト(あらかじめ設定された標準の状態)の社会で、

そうした社会に対する現状維持を意識的にも無意識のうちにも望むあまりに、

想像力欠乏症に陥っている。そんな状態や人たちを私は「オッサン」と呼びたい

ぼくはウーバーで捻挫し、山で鹿と闘い、水俣で泣いた』斉藤幸平

想像力欠乏症に陥ること、それはエンパシーとケア精神の欠如であるのだ

ということだと知ることができました。

想像力欠乏症から抜け出すには

本書に

「新たな<コモン>の可能性を見出すためには、今こそ、意識的に学び直さなければならない。」

「別の視点を一から学び直す必要があるということである」

ぼくはウーバーで捻挫し、山で鹿と闘い、水俣で泣いた』斉藤幸平

と書かれてありました。

マジョリティの世界にどっぷり浸かり、それ以外の世界を知らない状態では、

「傷ついた人」に気がつくことさえないのかもしれません。

気づくこと、理解することはその世界から出ること、別の世界に行くことで

わかることなのかもしれません。

その具体的な方法として、学び直す必要だあるということなのだと思います。

私は最近、エンパシーという言葉に注目していました。

その具体的な方法として、「別の視点を一から学び直す必要があるということ」を知ることによって、

より自分にエンパシー力を身につけれるのではないかと思いました。

もしかしたらこれも

別の視点から学び直すといえば、子育てはまさに一から学び直しではないかと思います。

子供の行動や言葉などを、自分の常識や当たり前に当てはめてみては、

その行動や言葉を否定してしまいそうになったり、実際に否定してしまうこともあります。

ですが、そこを改めて考え直す、子供の視点からの考えに自分を寄せていくことをします。

そうすると、自分の常識や当たり前が当たり前じゃないかもしれないとなり、

新たな<コモン>を手に入れることができます。

全てのことにそうしているわけではないけれども、そうやって、

自分の世界にどっぷり浸かるのではなく、たまには違う世界にお邪魔させてもらうこと

をしているのかもしれません。そう考えると、自分自身も大きく成長させてもらっているし、

自分は大人として子供たちにをケアしているような気になっているけれど、

子供達に私もケアされているのかもしれないとも思いました。

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