コミュニケーションを認知科学か考える!〜「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 今井むつみ〜を読んで

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コミュニケーションとは何かをいろいろ考えている中で、面白い本と出会いました。

それは

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?今井むつみ」

という本です。

副題として「認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策」とあり、

ますます心惹かれました。

今回はこの本を読んでみて、分かったコミュニケーションの本質について

自分なりにまとめ、そこから感じたことなどを書いてみようと思います。

コミュニケーション」は多くの認知の力に支えられている。

今回この本を読んで驚いたこと、それは

「コミュニケーション」は多くの認知の力に支えられている

ということでした。

認知の力とは、例えば、言語を理解する力、文脈を把握する力、記憶する力、

思い出す力、想像する力など、と本書には書かれてありました。

さらに、人間の認知の特徴として、さまざまなバイアスがあるのです。

こうして言語化され、一つ一つ見ていくと、それもそうだと納得できるますし、

こんなにたくさんの力を使っていたのかと改めて驚かされないでしょうか?

「コミュニケーション」と一言に書かれていると、私は、一つの力のような

錯覚のようなものを起こしていました。というか意識したこともなかったです。

ですが、このように言語化すると、

「コミュニケーション」をするためには、多くの認知の力を使っている。

私たちは、知らぬまにこのような力を駆使しながらコミュニケーションをとっている。

それと同時に、もしかしたらそのどこかの力にエラーやエラーやき弱性を持っていたら、

「コミュニケーション」というものがうまくいってない可能性などもあるのではないか

そのようなことに気づかされました。となると、認知の力というのは個人個人でも大きく

異なると推測します。その異なる部分から共に同じことを理解することの難しさのような

ものもあるなと考えました。

「スキーマ」という存在

私が読んでいる中で、「私が感じていたものに名前があった」と喜びと発見できたものが

ありました。それは「スキーマ」という言葉です。

「スキーマ」とは一人一人の学びや経験、育った環境、本人の興味関心などによって、

それぞれ個人の中で形成されてきた枠組みのことで、認知心理学ではそれを「スキーマ」

と呼ぶそうです。

私の体験談ですが、時々、人と話す中で、私の「当たり前」みたいなものがあって、

それを前提に話していることで、うまく伝えられていないということがあったことが

何度かありました。その度に、この「当たり前」みたいなものは私だけのものだったな

と思うことがありました。子どもとの会話などではそのようなことがよく起こります。

大人の世界と子供の世界の当たり前、知識の量などでズレが生じているようなことです。

それのことに「スキーマ」という名前がついているとは!

それと同時に

この「スキーマ」はそれぞれ個人個人にあるということ、

さらにその互いに異なる「当たり前」を前提にコミュニケーションを行っているので、

「伝えたいことがうまく伝わらない」の原因になっているということ

が興味深かったです。

この互いに異なるものが前提でのコミュニケーションさらにコミュニケーションの

ハードルが上がっているように思います。

あやふやな上に成り立つ「コミュニケーション」で私たちはうまくコミュニケーションを図れるのか?!

私は上記の「認知の力」と「スキーマ」ということを知り、大変興味深く、

心躍るような気持ちでした。それと同時に少しネガティブな感覚も抱いてしまいした。

それは

これら二つの「認知の力」と「スキーマ」というのは、

それぞれ不安定というか、あやふやというか、見えるものでもないし、

互いに測れないものです。

だとすると、互いが思っていることを100%理解し合う、コミュニケートすることが

できないのではないか?

本当に自分が伝えたいことが伝わって、意図した通りのコミュニケーションが

本当にできるのだろうか?

という思いです。よくよく考えてみるとこの疑問自体、本書の題名のことのようです。

本書からの回答は

ではそのような私の少しネガティブな疑問に対して、はっと気づかされたことが

あります。

「人は、何をどう聞き逃し、都合よく解釈し、誤解し、忘れるのか」を知ること。

そして、そうした特徴を持つ人間同士が、それでも伝え合えるように考えることが、

「いいコミュニケーション」の実現には不可欠です。

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?今井むつみ」

例え、認知の力とスキーマという、互いに異なるもの同士であったとしても、

人間が持つ特徴、ファクトを知って、そこからどうしていくのがいいのかというアプローチを

本書では書かれてあります。

では、そこからどうしていくのがいいのかといういわゆる「実践」とはどのようなことが

あるのでしょうか?

その実践とは

本書で書かれていた中で、もしかしたらこの力と通じるのでは?という言葉があります。

それが

「エンパシーを使おう」

ということではないかと思います。

エンパシーとは何かは以前のブログでも取り上げたことがあるのですが、

https://you-try-blog.com/book20240110/

今回は、私がエンパシーという言葉を知ったきっかけでもあるブレイディみかこさんの言葉を

引用すると(日経BOOK PULSというウェブからの抜粋)

エンパシーとは、湧き上がる感情に判断力を曇らせることなく、

意見や関心の合わない他者であっても、その人の感情や経験などを理解しようと、

自発的に習得する「能力」のことなんです。

https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/050800242/051700005/

本書では「メタ認知」や「心の理論」という言葉も出ていました。

それはエンパシーの力でもある多面的に物事を俯瞰してみる力とも通づると思います。

つまり、このことからも「コミュニケーション」とはただ話すのが流暢だとか、

そのような一つの力に特化されたものというよりも、人間が人間を理解しようとする

そのような関係性の中から育まれるもの、うまく言えませんが、人間的なものの中で

醸成されるもののようにも感じました。

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