「諦める力」と聞くとどんな印象がありますか?
この単語は何となく後ろ向きなイメージがあるような気もします。
元陸上選手だった為末大さんが「諦める力」ということについて書いておられます。
私の勝手なイメージですが、スポーツ界というのは、諦めからほど遠い世界のような気がします。
諦めてはいけないというようなイメージある世界です。
そのような世界にいた方が語る「諦める力」とは一体どういうことなのか、
非常に気になり、この本を手に取る事となりました。
「諦める力」とはどのようなことなのか、そして私が考えたことを書いてみようと思います。
「諦める」とは
私の考える「諦める」とは、目指していたことを断念する、しぶしぶやめてしまうというような
マイナスなイメージがあります。
私は、中学校のころ運動部に入っていて、よく先生から言われていたことは「諦めるな」という言葉でした。
ずっと言われていたので何か頭の中に無意識にその言葉が刻まれているのか、
諦める事=何かダメな事、のようになっているところがあります。
長く続けることがよしとされているような、そんなイメージです。
しかし、本書で為末さんが辞書で調べたところ
“諦 「思い切る」「断念する」「明らかにする」「つまびやかにする」「さとり」”
という意味があるようです。
私が脳裏に焼き付いていた諦めるのイメージは、まさに「断念する」一択でしたが、
何とそうではなく前向きな言葉のイメージ「明らかにする」「さとり」というのもあげられています。
目からうろこが落ちる感覚です。
諦めるということは、明らかにする。いったい何をあきらかにするべきなのか。
その答えのようなものが、本書に書かれていました。
私が本書で注目した点
私が考える”明らかにする”とは何かを本書から3点あげると以下の通りです。
客観視する
うちに目を向ける
ありのままを受け入れる
ここで、少し為末さんのことを、私の読解力で要約させていただくと、
為末大さんは、8歳から、短距離走を始めました。
走り始めるとどんどんと頭角を現し、記録を作っていきます。
中学三年生では、100,200,400メートル、走り幅跳びなど複数の種目で中学校ランキング1位になります。
こうして順調だった陸上人生が狂い始めたのが3年生のインターハイです。
インターハイといえばスポーツをする高校生ならば憧れるスポーツの祭典。
そこで3種目エントリーしており、一番優勝したかった100メートル走のエントリーを
顧問の先生に黙って取り消されてしまう。
それは為末さんの繰り返し起こる肉離れを見ていて判断されたことだったようです。
高校三年生ごろには100メートルのほかのアスリートにも追いつかれ勝てなくなってきた現実もありました。
そして最終的には、陸上競技の花形種目である100メートルを走る事をあきらめ、
400メートルと、400メートルハードルに種目を絞る決断をしました。
陸上競技会においては400メートルハードルというのはマイナー競技という位置づけでした。
400メートルハードルでオリンピックに出場し、銅メダルを獲得しました。
このような陸上生活を歩まれたそうです。
客観視する
順調だった時期を経て、高校生として、目指してきた大会で、
一番優勝したかった種目からの外されるということは、高校生という多感な時期なら
なおさらショックが大きかったのではないかと推測されます。
そのような中で為末さんがされていたことは、冷静な分析でした。
私の高校生時代を思い出して、そのようなことをしたことがあるかと言われれば皆無だと思います。
ショックの中で冷静に客観視できるなんて、脱帽以外の何物でもありません。
自分の立ち位置を把握し、自分がどうして出れないのかを把握し
これから自分がどのようにすべきかを考えるという、自己分析の作業。
そしてその中で、自分が何を選択し、見極める事。このようにして、
客観的に自分を見て、自分の次ステップを見出しおられました。
自分の内に向ける
それと同時に重要だなと感じさせられたのは、自分がどの様に感じているか、
どう思っているかというような、自分の内に目を向ける事です。
そうして自分と対話していく感じだと思います。
他人軸ではなく、自分軸で物事を考えるということです。
そのような経験をたくさん積むことで、自分のセンサーのようなものができて、
直感のような形で表れてくるように思います。
だからこそ日頃から、周りの声にばかり耳を傾けるのではなく自分の感情をきちんと感じたうえで、
いろいろと判断していく必要があるのだなと思いました。
ありのままを受け入れる
本書に為末さんが、ありのままの姿勢を受け入れ前進していく姿が書かれてありました。
それが非常に説得力があり、すうーと身体に入ってきた感覚がありました。
私が感じた内容としては、どんな状況だったとしても、その状況を受け入れ、
そのうえでどうしていくかを判断していくという姿勢が大切であるということです。
世の中にはどうしようもないことが山ほどあります。
その事を嘆いていたり、そのことに執着していては、前に進めないです。
私自身、なんとなく状況を恨んだり、羨んだりして、周りのせいにして、
進めない、進まない理由にしている事が多いなと反省する事も多いです。
そんな時はやはりこの状況を受け入れていないことが問題なのかもしれません。
こういうものなんだという、ここでも「諦め」みたいなものが大切なのかもしれません。
そこからどう進んでいくのかがやはり大事なのだと思います。
まとめ
諦める事は、決してマイナスなことではなく、自分がより自分の思う理想や目的に到達する為に、
自分を理解し、自分の心に重点を置くことで明らかにしたことを進んでやるために必要な力である。
そして、例え自分にとってマイナスの状況であっても、それをまずは受け入れてみる、
そこからどうするかどうするかということ得るために、必要な力なんだということが分かったように思います。
今、いろいろなことにチャレンジしているわけですが、自分の理想や目的は何であるのか、
そのためにどうする事が必要なのかを考え、時にはその目標のために諦める
という選択も必要だなと感じました。
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